日射の取り込みの検討について

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皆さんこんにちは

今回の投稿では、日射の取り込み方法について紹介させていただきます。

日射の取り込みは、太陽光が年間を通してどのように家に入ってくるのか、理解した上で窓の位置を検討して行くことで実現できます。

こう聞いて、なんだか難しそうと思うかもしれませんが、意外とそうではありません。中学校の理科の知識レベルで検討を進めることが可能です。是非最後まで内容をご覧いただき、効果的に日射を取り込める検討をマスターしていっていただければと思います。

 それでは紹介させていただきます。まず、太陽の1年の動きについておさらいしていきましょう。太陽は、春分と秋分の時は真東から登って真西に沈むことになります。夏至の場合は東北東あたりから登って、西北西あたりに沈み、冬至の場合は東南東から登って西南西あたりに沈むことを習ったかと思います。そして、太陽の動きは、この図のように、一定のスピードで軌道を描いて移動していきます。まずはこの動きを頭にイメージしましょう。

 そして、次に、皆さんの生活のリズムをイメージしてみましょう。生活のリズムをイメージしながら、何時の太陽光を室内に取り込みたいのか、そこから検討をしていきます。

 例えば、朝9:00の太陽光を取り込みたいとします。

このように何時の太陽光を取り込みたいか決めたら、まず初めに一番条件の厳しい冬至について検討して行きます。冬至は、2023年だと、6:47分に日の出を迎えていました。冬至の日の出時刻は大体毎年一緒なので、6時47分が日の出だとすると、朝9時の太陽の位置は、大体このあたりと想定できます。

ここで、冬至の朝9:00の太陽高度と太陽方位を調べてみます。これはネットで検索すればすぐ出てくるのですが、冬至の太陽高度は20°、太陽方位は141°であることがわかります。また、参考までに春秋分、夏至の太陽高度と太陽方位はこちらになっています。

 次に、プランニングの検討をしていきます。例えば、このようなプランがあったとします。

このプランで、東側に吹き抜けを持ってくると断面的には下図のようになりますが、ここで、冬至の朝9時の太陽の太陽光について確認していきましょう。冬至の朝9時の太陽光は、太陽高度20°ですので、入射角は下図のようになります。そう、ここまで来たらあとは簡単ですね。吹き抜けの室内側のこの部分を起点として、水平面から20°のラインで線を引いた時に、窓の下端が太陽の入射角以下になるように計画することで、1階奥まで太陽光を取り込むことが可能となります。少し窓を下側に拡張すると、より積極的に光を取り込めるようにもなりますので、合わせて検討してみてください。

 ただ、ここで気を付けるポイントがもう一つあります。そうです、太陽方位です。今度は平面図を見てみましょう。冬至の朝9時の太陽方位は、141°でした。これを図面上でラインを引いてみると、下図のになります。この場合、窓の位置は、東側ではなく南側に設けないと冬至の朝9時の太陽光を1階奥まで取り込めないことが分かります。

 このような形で、春秋分、夏至についても同様の検討をしていきます。春秋分や夏至の場合は、朝方で同じ時間帯の場合は太陽方位が東側にずれ、太陽高度が上がることになる他、もう少し早い時間帯でも光が取り込めるようになりますので、それらを踏まえて窓の位置を微調整していくことをお勧めします。

 説明をお聞きして、もうお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この検討に必要なものは、定規と分度器だけです。あとは取り込みたい太陽光が何時の時間帯のものなのかを生活をイメージしながら決めたら、ネットで冬至や春秋分、夏至で取り込みたい時間帯を検索すれば、その時間帯の太陽高度と方位がわかりますので、後は図面上で定規と分度器を当てれば、どの位置に窓が必要なのか、吹き抜けはどの程度の広さをとれば効果的になるのか分かるようになります。

 是非、今絶賛間取り検討中の方は、試してみてくださいね。

なお、最後に補足ですが、吹き抜けで南面に窓を設ける場合は、同時に夏至の何中時刻付近の日射を防ぐことも考える必要がありますので、庇の設置や、それが叶わない場合は最低でも室内側にロールスクリーンの設置を同時に検討してみてくださいね。

なお、日射遮蔽の選択が消費電力に与える影響については住まいのエコチェックで確認できますので、是非合わせてご確認ください。

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