高気密高断熱は、家の快適性を上げる上で重要な要素でありますが、実は一定の落とし穴があることはあまり知られていません。特に気を付けなければならないのは湿気対策。ここでは、木造住宅で高気密高断熱にした場合に、湿気によって耐久性が下がるのか、解説していきます。
先に結論をお伝えすると、「高気密高断熱と湿気対策は密接に関わってはいるが、それ自体に相関関係は無く、地域毎の結露計算を踏まえた材料や工法選定の影響が大きい。」が正解になります。
以下解説となります。話を分かりやすくするために、6地域に絞って解説していきます。
まず、何を持って耐久性が高いと言えるのかと言う点ですが、木造住宅の場合は、木材の腐食をどう防ぐかが重要であり、その天敵は水と白アリとなります。
この内、水対策については、雨仕舞いと壁内結露対策があり、高気密高断熱と密接に関わるのは壁内結露対策の部分ですので、そこに絞って紹介していきます(壁内結露については、別ブログで解説していきますので、そちらをご確認ください)。
冬型結露
最初に、冬型結露について解説していきます。
一般的な充填断熱で断熱材にグラスウールを採用する場合は、室内側に気密防湿シートを貼ることで室内の湿気を壁内に行かないように遮断します、これは、気密性を高める事でより効果を発揮します。高気密が重要と言われるのはこれが原因ですね。

夏型結露
次に夏型結露についてです。夏にエアコンをつけるのが当たり前になった現代においては、この点も考慮する必要がありますが、これが悩ましい。グラスウールは透湿抵抗が低く、露点温度を壁内で引き下げられないので、結露計算上、どうしても夏型結露が発生してしまいます(画像2枚目)。これは材料特性上の課題ですね。
なお、画像は6地域での試算であり、地域差はありますので、地域毎に判定する必要はあります。

対策の仕方
それでは、これを回避するためにはどうすれば良いのか。対策としては色々考えられますが、透湿抵抗の高い断熱材を採用したり、可変性調湿気密シートを採用したり、WB工法を採用したり、はたまたそれらを組み合わせる事によって対策を講じます(画像3枚目)。
たまに、充填断熱のグラスウールでも通気層から湿気が逃げるので大丈夫とか、晴天時に乾くので大丈夫(要約するとそんなに心配する必要ないよと言う意味)とか言う説明も聞いたりしますが、私が知る限りはそれが証明されていると聞いた事はないので、このような主張を工務店やHMからされた場合は、その社の実績で判断することになります。

これらについては、各社結露計算をした上で、総合的に見て最適な工法を採用しているとは思いますが、結露計算については義務化されていない(特に夏型の結露計算は。冬型結露も国の基準が室温15℃の場合の算定なのでかなりザル)ので、施主側としても注意しておきたいポイントではあります。
もし心配なようでしたら、お願いしているHMや工務店さんに、結露計算は冬型、夏型でそれぞれ行なっているか、その計算の前提となる温度差の設定は地域の実態に即したものかを聞いてみましょう。
各社工夫を凝らして材料、工法を選定しているものと思いますし、誠実な会社であればちゃんと答えてくれるはずです。


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