断熱・気密・換気システムの比較

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断熱気密、1種換気による全熱交換についての比較です(日射による輻射熱は未考慮)。6地域において、一般的な大きさの住宅、100㎡でLDKに吹き抜けを有する場合に、選択する断熱性能によって、熱損失量や電気代にどのような影響を及ぼすのか解説していきます。

まず、ひと昔前の、断熱等級4,C値5.0の住宅について解説していきます。冬の熱損失量で単位時間当たり5kWとなり、特に漏気が換気による熱損失と同じくらいあります。C値5だと1時間で居室の半分の空気が入れ替えられると言われますが、換気によって入れ替えられる空気が居室の半分でありますので、それと同等の熱損失があるという事から、それが正しいことが分かります。

次に、ZEH水準、C値1.0の住宅について解説していきます。断熱等級4、C値5.0の住宅に比べて、35年間の電気代が130万円も変わってきます。これは断熱材やサッシ性能を少し高めるだけで到達できるので、費用対効果もあると言えますね。

次に、HEAT20、G2水準、C値0.5の住宅について解説していきます。この断熱性能については、充填断熱のみの在来工法で無理なく目指せるギリギリのラインであります。35年間の合計電気代では、ZEH水準の家との差で50万円程度となりますので、コストメリットがあるかは微妙なラインにはなってきますが、工法選択の制約が低く、高い水準の温熱環境が手に入るので、バランスが取れている内容です。

次に、HEAT20、G2水準、C値0.5にプラス全熱交換(1種換気)を採用した住宅について解説していきます。35年間の合計電気代は、第1種換気システムの電気代を一律300円/月として見こんだ場合に、20万円程度減少します(ダクトレス換気の場合はこの程度。ダクト付の第1種換気システムの電気代だともう少し電気代がかかる可能性がありますのでご留意ください。)。冬のエアコン必要能力が日射熱取得未考慮で3kW台なので、日射熱を考慮すると、この辺からエアコン1台で全館空調が見えてきます(電気代には1種換気電気代反映済です)。この辺からは、コストメリットで選択するというより、高い温熱環境を重視したい場合に選択するものかと思いますので、高い温熱環境を重視したい場合は、全熱交換にお金を投下するか、付加断熱をしてG3を目指すか、これは住まい方や重視したい内容によって決める形かと思います。お金に余裕があれば、両方採用するのも良いですね。

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